売却お役立ち情報
中古車査定士の見るところ。査定の基準やチェックポイントを解説
車を売却するときには、ディーラーや中古車買取店の中古自動車査定士が車を査定して、それぞれ自社の買取金額を算出しています。
そこで今回は、車査定の基準や査定士がチェックしているポイントを中心に、査定に関する情報をご紹介していきます。
特に、査定士がチェックしているポイントを把握しておくことで、お車の売却時以外にも、中古車を購入する際にも役立ちますので、是非ご参考にしてみて下さい。
中古車査定の基準について
車の買取りに査定が必要な理由は、同じ車種、年式、走行距離でも車の状態が一台一台異なる為です。外装・内装の状態、修復歴の有無や複数のオーナーがいたのか、どのような使い方をしていたか等、判断をするのが難しいものを正しく査定する必要があります。
査定とは、「物事を調べて決める」という意味があり、車の所有者から車を買い取る際に、適正に評価をする必要があります。
査定をする人によって評価基準が異ならないよう、JAAI一般財団法人日本自動車査定協会では「中古自動車査定制度」を設けて、多くの自動車買取業者がこの制度で査定をしています。
とは言いつつも実際には、企業ごとに粗利益、諸経費、販売政策などに差があることから査定額が違ってくることとなります。
中古車査定士はココを見ている!
では具体的に、中古自動車査定士は車のどこを見て評価をしているのか、ポイントをいくつかに絞ってご紹介していきます。
走行距離をチェック
まず、査定額に差が出る大きな要因として、走行距離が挙げられます。
一つの基準としては、年間走行距離は1万キロがおおよその目安となり、これより大きく超えると過走行となり、査定額が下がる要因となります。逆に、年間走行距離が1万キロを下回るとプラス査定が期待できます。そのため、お車を複数台所有されている方は、1台のお車だけ極端に走行距離が伸びないよう上手く使用頻度を調整してみると良いかもしれません。
また、点検記録簿の確認をして、過去の不具合箇所、メーター交換歴の有無、メーター戻しがないか目視確認と「走行管理システム」による照会をします。
走行管理システムを利用することで、買取店は過去の流通データベースから当該車両の走行距離に異常がないかチェックをしています。
輸出向け車両の輸出条件をチェック
海外では、日本車は故障が少なく非常に品質が高いと言われています。
日本人は比較的、車を長く乗るという文化があまり無いため、国内には良質で高品質な中古車が沢山あるというのが背景にあります。
そんな日本車ですが、「海外への輸出規制」について大きく分けますと、下記の内容が査定額に影響を与える重要なポイントになります。
年式規制・・・初度登録から7年、5年、3年以内のいずれかとなり、売却時期が1ヶ月遅くなっただけで年式規制に引っ掛かり、査定額が数十万円下がってしまう事もあります。
また、初年度登録「月」だけでなく、「日」まで厳密に定める国や規制内の年式でも車種によって輸出先の国の関税が異なるケースもあるようです。さらに、製造月までチェックする国もあるため、シートベルトに付いているタグ(シートの製造月が記載されています)や車台番号から製造月を調べるなど輸出向け車両の年式規制は、とてもシビアなものとなっています。
ハンドル規制・・・中国などの一部の国では、右ハンドル車は輸入が禁止されている国もあります。そのため、右ハンドルか左ハンドルかでも査定額は変わってきます。
車両スペック・・・これは車に装備されていないと一部の国では、輸入許可が降りないといったものです。例えば、ニュージーランドでは、横滑り防止装置が義務化されており、付いていないと日本から輸出ができなくなってしまいます。
外装の査定チェックポイント
それでは、実際に現車査定時に査定士がチェックしている項目をご紹介していきます。
外装に関しては、細かな箇所をチェックする前に、まず最初に全体のキズ・ヘコミと雰囲気をチェックしていきます。
塗装の痛み具合や隙間に溜まった汚れ等で経験豊富な査定士はおおよその保管状況、どのように使用されてきたかの予測が立ちます。
その後、ドアやボンネットなどのパネル交換歴や鈑金修理跡、修復歴の有無を確認します。
鈑金塗装跡は、ボディを見れば新車時のオリジナル塗装と鈑金工場で修理をした塗装かどかの判断ができます。そして、もし鈑金塗装跡があれば、パネル交換歴が無いかどうか「パネルとフレームを繋ぐボルトの状態」「シーラーの状態」を中心に確認をしていきます。
万が一、パネル交換歴があれば大きくぶつけてしまった可能性があるため、フレームに異常が無いかしっかりと確認をしていくという流れになります。
逆を言えば、鈑金塗装やパネルを交換することなく、フレームまでダメージが行き、修復歴車になる事はありませんので、軽度から重度の方向にチェックしていくこととなります。
輸出向け車両の場合は、大きな修復歴(ルーフ交換、カウルパネル交換など)があったり、下回りのサビ、腐食穴がある場合は、輸出先の国で現地の登録基準に満たないケースがあるため細心の注意を払って査定をします。雪が降る地域にお住まいの方は、可能な限りサビや腐食が出ないようメンテナンスをしましょう。
また、車高が極端に低いお車や社外AWでインチアップしていてフェンダーとの隙間が無いお車は海外バイヤーから敬遠される場合がありますのでご注意ください。
その他、外装のチェックポイントは下記の通りとなります。
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内装の査定チェックポイント
内装のチェックポイントは、まずルーム全体の汚れや臭いを確認します。
軽度な汚れに関しては、落とす事ができますが、タバコやペットなどによる臭いが強いと完全にはオリジナルに戻すことが困難なため、大きな減点となってしまいます。
芳香剤に関しましても、あまり強い香りが付いてしまうと、香りの感じ方に個人差があることから減点の対象となってしまいますのでご注意ください。
大まかな内装の雰囲気を確認してから、細かくシートやハンドル、シフトノブの擦れ、切れ、シワ等の使用感をチェックしていきます。
また、最近の車両は安全装備が充実していることから、システムの動作確認、チェックランプの点灯も必ず確認をしていきます。
特に、輸入車は思わぬような修理代がかかるケースがあるため、査定士としては絶対に見落とせないポイントとなります。
ちなみに、スポーツカーの内装色は、茶色・ベージュよりも赤・黒の方が査定額は上がる傾向にあります。
また、輸出向き車両の1BOX、SUV(アルファード、ヴェルファイア、ランドクルーザー、プラド等)は、黒よりもベージュ・茶色の方が海外需要が高く、査定額も高くなる可能性がありますので、リセールバリューを意識されている方は、ご参考にしてみてください。
さらに、輸出向け車両はスペアタイヤの有無も重要なポイントになってきます。
アルファード、ヴェルファイア等は、スペアタイヤがメーカーオプションになっていますが、リセールバリューを考えると是非付けておきたい装備になります。
その他、内装のチェックポイントは下記の通りとなります。
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エンジンルームの査定チェックポイント
エンジンルームのチェックポイントは、オイルの色や量、異音、改造箇所の有無、ベルト関係のヒビ、バッテリーの交換時期、エンジンマウントの劣化、修復歴の有無を必ず確認していきます。
特に、エンジンオイルの漏れが酷いと輸出の際、船積みができない可能性があるため、念入りにチェックをします。
また、輸出先の国での登録基準に満たないケースがある為、ボンネット、両フェンダーの交換歴、修復歴の確認をしていきます。
エンジンルームは、極端に汚れていなければ、査定前に綺麗にしなくても良いかもしれません。
オプション装備をチェック
近年は、オプション装備の多様化により同じような車両でも査定額に大きな差が出るようになりました。
特に、メーカーオプションは、後から付けることができないため、一つ一つ見落とさないよう確認をしていきます。
逆に、レスオプションは安く購入することができますが、売却時も安くなってしまうため査定のチェック項目となっています。
輸出向け車両の付いていると良いオプション装備をまとめましたので、是非ご参考にしてください。
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付属品の有無をチェック
査定は、お車の外装、内装ばかりに意識が行きがちですが、付属品の有無も査定額にダイレクトに反映されますので注意が必要です。
ご用意頂きたいものは、
▪️保証書
▪️点検整備記録簿
▪️スペアキー、カードキー
▪️ロックナット ソケット
▪️オプション品、後付け装備品の取り扱い説明書
これらの付属品はしっかりとご用意して頂く事をおすすめ致します。
特に国内で人気の小売向き車両にお乗りの方は必ず、保証書と点検整備記録簿をご用意ください。点検整備記録簿は、直近のものだけではなく、過去の記録簿もご用意いただくと尚良いでしょう。
また、スペアキーを紛失してしまったというケースが多くあります。
この場合、キーを作り直す費用が掛かってしまうだけでなく、買取後すぐに販売したくてもキーの作り直しで時間がかかってしまうというデメリットもあります。
同様の理由でホイールにロックナットが付いている場合は、専用ソケットをご用意下さい。
さらに、社外品のマフラー、アルミホイールに交換されている方は、純正パーツがあれば必ずご用意下さい。
お車だけでなく付属品にも気を遣って頂く事で査定額を最大限に高めることが可能となります。
まとめ
今回は、お車の売却時に査定士が見ているポイントをご紹介致しました。
細かなチェックポイントもあったかもしれませんが、大まかにまとめますと、ご自分が中古車を購入する際に気になる項目を意識すると良いかもしれません。
また、少しでも高くお車を売却したくても修復歴は隠さずに正直に伝えましょう。
なぜなら、査定士が修復歴を見落とす可能性が極端に少ない為です。もし、修復歴を隠しても査定士にはバレてしまいますので、査定士の心象が悪くなり逆効果となってしまいます。海外需要のある車の一部は修復歴があっても価格に影響のないものもありますし、最終的には査定士も”人”です。
信頼関係を築き、お互い気持ちの良い取引きをすることが高額査定にも繋がります。