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「修復歴のある車」定義と基準、どんなもの?
クルマの購入を考えるときのポイントとなる「修復歴車」
安易に「事故車=修復歴車」と説明することがありますが、車の査定で重要になる「修復歴車」とは、「事故に遭ったことがある車」のことではありません。
今回は「修復歴車」と「事故車」の違いを解説します。
~修復歴車・事故車の定義~
事故車とは、その言葉から「事故を起こした・起こされた車」という意味に思われがちですが、修復歴車の定義は若干異なります。
実際に事故を起こしているのに、修復歴車に該当しないケースもあります。
また、修復歴と修理歴では意味が異なります。
事故歴・・・事故・災害などに遭った経歴
修復歴・・・骨格部が損傷して、修正や交換をした経歴(日本自動車査定協会が定義)
修理歴・・・骨格部以外を修理した経歴
☆POINT☆
基本的に骨格部(フレーム)から外側の部分は、修理・交換しても修復歴車には該当しないということです。
~修復歴車の基準~
この修復歴車の基準は1997年に自動車公正取引協議会・日本自動車査定協会・日本中古自動車販売協会連合会・自動車販売協会連合会が中心になって定められました。
修復歴の判断基準は度々改正されます
(*最後に改正されたのは2019年4月)。
修復歴車は事故歴の有無に関わらず、骨格部(フレーム)の交換・修復(修正・補修)した車両のことを指します。
①フレーム (サイドメンバー)
②フロントクロスメンバー
③フロントインサイドパネル
④ピラー
⑤ダッシュパネル
⑥ルーフパネル
⑦ルームフロアパネル
⑧トランクフロアパネル
①〜⑧の骨格・フレーム部に、カードサイズ以上の損傷や修理した跡があるものは修復歴になります。
(ボルト部分は骨格に含まれません)
以前は⑨ラジエータコアサポートは、交換されていて隣接するフレーム部に「凹み・曲がり」や修理の跡があるものは修復歴となりましたが、2016年の改正により修復歴の対象外になりました。
具体的な検査としては、
・フレーム修正機の使用跡はないか
・ヒンジ・シール剤は新しくなっていないか
・工具を使用した形跡はないか
などのチェックが行われます。
ポイントは、上の図での箇所以外の、全ての部品を修復・交換しても修復歴にはならないということです。
また、上記の箇所を修復しなければならない状態にも関わらず修復されていない車はNGです。
~修復歴車に該当しない例~
◇ エンジンの交換・載せ替え
◇ バンパー・フロントフェンダーの交換
◇ フロント・リアウインドウの交換
◇ ドアの交換
◇ ボディの全塗装・部分塗装・カスタムペイント
骨格部からボルトで外れるものは交換しても修復歴にはなりません
修復歴車の統一基準からすると、たとえば壁に擦ってしまってできた傷を塗装修理しただけでは修復歴車にならないことが分かります。
修復歴に含まれない修理を行った場合、「修理歴」とされますが、修理歴は修復歴ほど買取価格に大きく影響しません。
バンパーを交換した場合はどうかといいますと、こちらは一見修復のようですが、バンパーはフレームではないので、交換しても修復歴には含まれません。
フロントフェンダーやトランク、ボンネットが破損した場合も同様です。
次に、車が横から追突された場合です。このときドアの交換だけで済めば修復歴にはなりませんが、ドアの交換と合わせて損傷したフレームを修復すれば、修復歴に該当することになります。
修復歴のある車は、ない車よりも安く販売され、とくに高級車やスポーツカーは値落ち幅が大きくなるケースが一般的です。
そのため、中古車を買うときに、あえて節約のために修復歴のある車を選ぶ人もいるでしょう。
そうしたときに気になるのが、安全上の問題です。
現在の乗用車の多くで採用されているフレームは「モノコック構造」というものです。
このフレームは、一方向から衝撃が加わった場合に衝撃を分散させて乗員を守ってくれますが、そのことによって車体全体に歪みが広がる可能性があります。
もしも追突事故などでフレームの一部が破損すると、追突箇所を完全に修復したとしても、車体全体のバランスが歪んだままであれば、フレームの機能を十分に発揮できず安全性が落ちてしまうのです。
そのため、事故にあった場合、あらためてフレーム全体の接合箇所を修復(溶接)することもありますが、ピラーとルーフパネルの周辺の接合箇所にはとくに注意しましょう。
ここがうまく修復されていないと、衝撃がうまく分散されなくなるからです。
このような車体で事故に遭遇すると乗員が大きなダメージを受ける可能性があります。
またフレームやダッシュパネルを修復した場合は走行に悪影響が出るかもしれません。
これらの箇所の修復が十分になされていないと、ハンドルがブレたり、直線の道路を走っているのに横に寄ったりする可能性があるため、試乗して念入りに違和感がないか確認しておきたいところです。
合わせて、カーブのときの違和感や、異音などもチェックしておきましょう。
(一般財団法人 日本自動車査定協会ウェブサイトをもとに作成)
~まとめ~
事故車=修復歴車であると思っている方もいらっしゃいますが、事故を起こした車であっても自動車の骨格部位が修復されていなければ修復歴なしとなります。
人間の体で例えると転んで擦り傷のけがをしても「修復歴」にはならず骨を折ってしまった場合は「修復歴」になります。
中古車販売業者に修復歴の表示は義務付けられていますが、事故歴そのものについての告知義務はありませんので注意しましょう。
中古車の購入を検討している場合は、販売店で修復歴の内容の確認、また事故歴についても確認することが大切です。
何か気になる点があれば必ずはスタッフさんに相談してみましょう。
コーリンオートでは修復歴車や故障やトラブルにつながりかねない粗悪な車両は一切取り扱っていません。
車に関する知識豊富なスタッフがお車選びからご契約・ご納車に至るまで、きちんとご説明し、ご納得いただいた上でご購入いただくのがモットーです。
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